そしてすぐにスマホの画面をのぞき込んだ私は画面に浮かんだ未希からのメッセージに奥歯を噛み締めた。

──『恋先輩~博樹からいま連絡きました。まさか相談乗ってもらってるうちに博樹とこんなことなるなんて~ずっと言えなくてほんとにすみませんっ、恋先輩の分も幸せになります!』

「何よこれ……っ」

私は既読スルーすると、スマホの電源を落とした。

(全部知ってたんだ……だから未希ちゃんは博樹とディナーのこと……)

「……私が何したっていうの……ぐす……」

アルコールが身体を巡ってふわふわしてくる。
泣きたくなんかないのにやっぱり涙は込み上げてくる。

「もう恋も……恋なんて名前も大っ嫌いっ!!」

私は大きな声でそう叫ぶと、手に持っていたチューハイの空き缶をグシャリとつぶしゴミ箱をめがけて放り投げた。

──ガコッ

私の投げた空き缶はゴミ箱の淵に当たり、コロコロと転がっていく。

「もう……っ」

私は立ち上がるとフラフラとした足取りで空き缶を拾うべく歩いていく。そして地面に転がっている空き缶を拾い上げようとした──その時だった。

「大丈夫ですか?」

私が伸ばした手より先に大きな手が空き缶を拾い上げた。