「優柔不断でだらしなくて……付き合うときだって、私からどうするって聞かなきゃいってくれなくて……でも別れるときだけそうやって自分だけで決めちゃうんだ?」

「怒ってる?」

「あたりまえでしょっ、二年だよ……二年付き合って……誕生日にこんなこと……っ」

「え、ちょっと泣くなよ?最後くらい楽しく飯食って、思い出話しながら今日は最後に恋の誕生日祝いたいって心から思ってるし」

博樹のずれた優しさに心の底から腹が立つ。

「ふざけないでよっ! 誕生日なのにこんなとこで別れ話なんて最低だよっ!」

「な、なんだよ……俺と別れたら恋が一人きりで誕生日過ごすのかわいそうだなって思って別れ話、今日にしたのに。それに俺、恋のこと嫌いなわけじゃないからさ。これからは友達として仲良くできたら……」

「できる訳ないでしょ!!」

「そんな怒るなよ……」

博樹が眉を下げると悲しそうな顔をする。

「博樹が被害者みたいな顔しないでっ」

「そんなつもりないけど、恋があんまりにも怒るからさ」

(信じられない……っ、こんなやつと二年も付き合ってたなんて)

怒るなんてモノとうに通り越してもはや失望と軽蔑だ。私は残っていたグラスのワインをすべて飲み干した。