写真を見せてもらう時に気づいたが、さっきまでは、お互いベンチの反対の端に座っていたのに、話しているうちに気づけば、とても近くに座っていた。

そのため、写真を見る時に、とても距離が近くて、少しドキドキしてしまった。電車の発車する音が聞こえてくるが、今の私にはそんなことはどうでもよかった。

そして彼の方から、カメラを渡してもらった。

「…わぁ、綺麗」

思わず声がでてしまった。写っているのは自分だし、お世辞にも可愛い顔とは言えない私だけど、彼の写真の撮り方が本当に上手で、いつもの自分じゃないみたいだった。


「ね、綺麗でしょ」

と彼は自分の写真を褒められて、少し嬉しそうな顔をしている。私もそんな彼を見て、つられて少し笑った。

今までほとんど話したことは無かったけれと、彼といるととても温かい気持ちになった。

…まだこの気持ちの正体には気付かぬふりをしていたい。