そんな会話をしたあと、しばらく二人の間に静かな時間が流れた。お互いに見つめあっていて、横で電車が到着する音が聞こえる。
そして、彼は何かを思い出したように口を開いた。
「…あ、写真嫌だったよね、ごめん、すぐ消す。」
といって、彼が慌ててカメラの削除のボタンを押そうとしていた。
「…待って!」
気がつけばそう叫んでいた。彼は急に叫ばれたせいか、驚きで肩をビクッとさせていた。
…申し訳ない。
「あの、その写真私に見せてくれませんか?」
と、そんなふうに私が言うと彼は、
「もちろん、君を撮ったんだからいいよ」
と言ってくれた。