というのも、正直彼が私の名前を覚えてくれているとは思っていなかったからだ。彼はあんまり人に対して興味がなさそうに見える。

それに、話したのなんて、数えれるくらいしかない。

写真部ではほぼ個人個人としての活動が多いからあんまり関わる必要もなかったし…。


そんなことを考えながら、返事をしていなかったことに気づき、「うん、あってるよ、花笠 夜海です」と言った。

そして、彼はあっていたことに安堵するように少しほっとした顔をしていた。まぁ、人の名前間違えたら嫌だもんね。

「俺の名前は…」

と彼が言おうとしたので、私はそれに被せるように、


「篠田 夜空くんでしょう?よくみんなが話してるよ。」


と言った。彼は、少し驚きつつも、「そうだよ」とだけ答えた。