やめてくれる気配なんて全然ない。
スカートの下の肌に彼の指の温度を感じる。
「ヤれなかった責任とれよ」
首筋に口づけられて、耳元で笑いながらささやかれる。
「ちょ、こういう冗談は……」
私のネクタイをゆるめようと指がかけられる。

——『ヒナが一番だから。特別』

「やめて!」
力を込めて、グイッと架月の身体を押し退ける。心臓がバクバクするのと同じくらい、呼吸も乱れて荒くなってる。
「こんなの……ひどいよ」
目に涙がにじみ始めた私に、架月が舌打ちする。
「ならもう放っとけよ」
架月が私を見る。

「これ以上うぜえことするなら、次はマジでやめねーから」

冷めた目が、〝お前なんか特別じゃない〟〝他の女と変わらない〟って言ってる。

息が苦しくなって、胸が痛くなって……架月の視線から逃げるみたいに屋上から出ていくことしかできなかった。

教室に戻るまでに止まるように、ブラウスの袖で必死に涙をぬぐった。