「こんなの遊びだってお互い割り切ってるんだから、教師だとか生徒だとか、関係ないのよ」
あまりにも非常識な発言にびっくりしてしまった。

「そんなのって——」
「渡加さん、大学は推薦狙いじゃなかった?」
「え?」
「あんまり先生を困らせるようなこと、言わない方がいいんじゃない?」
陰山先生は私たちのクラスの数学の担当だ。
来年はどうかわからないけど、少なくとも今年の私の成績を決める権利がある。つまり……
「脅すんですか? 生徒を……」
生まれて初めて感じる軽蔑ってやつと大人の悪意に対する恐怖で、声が震える。
「脅すなんて人聞きの悪いこと言わないでくれる? 先生として、アドバイスしてあげてるだけよ」
言い返せないのが悔しくて、こぶしをギュッと握る。その手も怒りで震えてしまう。こんなのバカげてるけど、私には逆らう力がない。

言葉が出なくてしばらくシン……とする。
先生が勝ち誇ったように笑ってる。

「あーあ」