個室に通されて、お料理が並んでいた。
「わぁ、きれい」
「明日から俺は仕事だし、一緒に夕食を食べれるのは多分今日まで」
「明日、遅いの?」
「うん、展示会があって打ち上げがあるから食事は一緒には取れないと思うよ」
4日からは未央のバイトがあるしなと、うな重を頬張りながら話している。
そっか、もうすぐ帰っちゃうんだ…
お腹いっぱい懐石料理を食べて2人はマンション前に到着した。
「ねぇ、これ」
未央は買ってもらったシャボン玉を出した。
「私ね、シャボン玉好きなの」
ピンク色の小さな容器、小さい時から変わらないシャボン玉
ふぅーっと優しく吹くと小さなシャボン玉が夜空にあがっていく。
「懐かしい(笑)」
お兄ちゃんも吹いてと渡されたが勢いが強くてすぐ破れてしまう。
「お兄ちゃん、下手すぎない?」
「おかしいな…」
ふぅー
もっと優しく吹くんだよと未央は液につけてふぅーと飛ばす。
「上手いな」
誉められて嬉しい、小さな事だけど未央は嬉しかった。
「寒いからまた昼間の暖かい時にしような」
「あー、自分が出来ないからだー(笑)」
「なっ、違うし…」
ほら寒い、寒いと未央の背中を押した。