「全員動くな」
グラハム2世の背後から首筋に刃を当てて、フィルが鋭い声を上げる。
「動くとボスの命はないぞ」
ピタリと兵達が動きを止めた。
「武器を捨てて手を上げろ」
一人、また一人と、兵は剣を床にポトリと落としてゆっくりと手を上げる。
全員が降参したのを確認した時、すぐ目の前で不気味な声がした。
「クッ、私を見くびるなよ」
そう呟いたグラハム2世がスッと振り返り、マントの下からキラリと光る剣を抜いた。
だが、構え方からして剣の腕前はさほどではないと分かる。
フィルが軽く剣を振り払おうとした時だった。
グラハム2世は、剣を持っていない方の手でマントの中から何かを取り出すと、フィルに向かって投げた。
ピシャッと音がして、フィルの腕に液体がかかる。
なんだ?と思った次の瞬間、焼け付くような痛みが走った。
(化学薬品?!)
熱傷の痛みに顔を歪めると、クリスティーナが、フィル!と叫ぶ。
「来るな!クリス」
クリスティーナにまで薬品をかけられてはいけない。
フィルは痛みに耐えながら、グラハム2世のマントを剣で切り裂き、みぞおちを剣の柄で打った。
膝から崩れ落ちたグラハム2世を床に組み敷くと、クリスティーナが手早くロープで縛る。
それを見届けたフィルは、ウッとうめいて両膝を床についた。
「フィル!」
クリスティーナは悲痛な叫び声を上げて、フィルを抱き留める。
「早く手当を!」
誰にともなく助けを求め、クリスティーナは涙をこらえてフィルを抱きしめていた。
グラハム2世の背後から首筋に刃を当てて、フィルが鋭い声を上げる。
「動くとボスの命はないぞ」
ピタリと兵達が動きを止めた。
「武器を捨てて手を上げろ」
一人、また一人と、兵は剣を床にポトリと落としてゆっくりと手を上げる。
全員が降参したのを確認した時、すぐ目の前で不気味な声がした。
「クッ、私を見くびるなよ」
そう呟いたグラハム2世がスッと振り返り、マントの下からキラリと光る剣を抜いた。
だが、構え方からして剣の腕前はさほどではないと分かる。
フィルが軽く剣を振り払おうとした時だった。
グラハム2世は、剣を持っていない方の手でマントの中から何かを取り出すと、フィルに向かって投げた。
ピシャッと音がして、フィルの腕に液体がかかる。
なんだ?と思った次の瞬間、焼け付くような痛みが走った。
(化学薬品?!)
熱傷の痛みに顔を歪めると、クリスティーナが、フィル!と叫ぶ。
「来るな!クリス」
クリスティーナにまで薬品をかけられてはいけない。
フィルは痛みに耐えながら、グラハム2世のマントを剣で切り裂き、みぞおちを剣の柄で打った。
膝から崩れ落ちたグラハム2世を床に組み敷くと、クリスティーナが手早くロープで縛る。
それを見届けたフィルは、ウッとうめいて両膝を床についた。
「フィル!」
クリスティーナは悲痛な叫び声を上げて、フィルを抱き留める。
「早く手当を!」
誰にともなく助けを求め、クリスティーナは涙をこらえてフィルを抱きしめていた。