「それだけお元気なら、これくらいはさせて頂こう」

そう言ってグラハム2世は、フィルの手足をロープできつく縛る。
そのままベッドの上に転がされた。

「あとで食事を運ばせますよ。どうぞごゆっくり」

嫌味たっぷりに優雅にお辞儀をしてみせると、グラハム2世は部屋を出ていった。

残されたフィルは、ギリッと奥歯を噛みしめる。

部屋には見張りが二人。
ドアの外にも二人いるようだ。

あの時、毒薬で倒れた時とは別の部屋のようで、ここがどこだか分からない。
だが冷たい石畳と窓がない部屋を見れば、地下の牢屋だと容易に想像がつく。

鉄格子はなく、分厚い石の扉と簡易的なベッドがあるだけの無機質な部屋。

身体がまだ重く寒さに凍えそうになる中、フィルはとにかくクリスティーナの身を案じていた。

(無事でいてくれ、クリスティーナ。必ず助けに行く)

その一心で、フィルはどうやってここから抜け出そうかと、考えを巡らせ始めた。