「二人とも、もうきてたんだ」
「うん。そろそろ始まるみたいだからね」
百物語に使う大広間には座布団と蝋燭が置かれている。
「みなさまお揃いですね。それでは始めさせていただきます」


それから、話す人が手を挙げて百物語が始まった。
かなり怖い話もあったので、悲鳴が上がることもあった。
そして終わる頃には、外が明るくなり始めていた。

「それではこれにてお開きにさせていただきます」
住職さんの一言で百物語は幕を閉じた。
「怖かった…」
桜はずっと私の方にしがみついていた。
「怖かったよねー」
涼しい顔で浜崎くんが隣を歩いている。
「お前はほんとに怖かったのかよ」
あははと笑っているからそんなに怖がっていないような気がする。
「でもちょと眠いかも」