「あと、お寺で百物語があるって聞いたんだけど…」
私がそう言った途端、桜と樹くんが青ざめた。
「百物語…」
震えた声で桜がつぶやいた。
「二人とも大丈夫?もしかして怖い話、苦手だった?」
「そんなことないんだけど…」
樹くんが桜に視線を向けた。
「大丈夫!あの時とは違うんだから、みんなで参加すればきっと怖くても楽しい思い出になるよ!」
なんだか無理をしているように見えるのは気のせいだろうか? 
「次!次はどこ行く?」
樹くんが無理矢理話題を変えるように話出した。
「そういえば、鈴が好きな小説家の小説が今度映画化するらしいよ。みんなで行かない?」
桜がサイトを開いた。
あ、浜崎くんと行こうって言ってたやつだ。
浜崎くんな顔をちらっと見た。
目が合い少し残念そうな顔をして
「いいね。みんなで行ったほうがもっと楽しいかもね」
といった。
もしかして、気を遣ってくれたのかな。
「お待たせ。召し上がれ」