「どうしたの鈴。元気ないけど、具合悪いの?」
桜が心配そうに顔を覗き込んできた。
「大丈夫」
「そう?無理しないでね」
誕生日、楽しみにしてたのにな…
今まで何度もこんなことがあった。
お母さんとお父さんは、私なんかより仕事の方が大事なのかな。
私のことはどうでもいいの?

そして、昼休みの時間になった。
「鈴、今日ほんとに元気ないよ。何かあったの?」
「実は…」
私は桜に、誕生日のことを話した。
「そうだったんだ…それは残念だね」
「うん…」
桜はしばらく俯いていたが、ぱっと顔を上げた。
「そうだ!鈴の誕生日って夏休みだよね?いろんな場所に行って、たくさん思い出作ろうよ!それが私からの誕生日プレゼント」
「桜…ありがとう」
「それじゃあ、樹にも伝えておくね」