「ここが、西沢さんの部屋?」
「うん」
「本がたくさんあるんだね」
浜崎くんは本棚をじっくり見ている。
「あっ、この作家の本は俺もよく読んでるよ」
浜崎くんが手に取ったのは高野司の小説だ。
高校生向けのミステリー小説が人気の作家だ。
「そういえば、同じ小説家の杉原美咲とは親戚同士なんだって。知ってた?」
「そうだったんだ」
それは知らなかった。
「あっごめんね勝手に触って」
「ううん。他にも気になるのあったら見てていいよ。私布団持ってくるね」

「お待たせ」
「ありがとう。敷くのは俺がやるから」
電気を消して私と浜崎くんは、布団に入った。
「今日、泊めてくれたお礼に何かしたいんだけど、何がいい?」
「え、いいよそんなの」
「遠慮しないで。何か欲しいものとか行きたいところとかある?」