「浜崎くん?何してるの?こんな時間に」
駆け寄ると、顔色がひどく悪い。
手を触ると、氷のように冷たい。
長い時間ここにいたのだろうか?
「浜崎くん、大丈夫?具合悪いの?」
その時、私が乗る電車が来た。
とにかく、浜崎くんをこんなところに置いていくわけにはいかない。
「浜崎くん、立てる?」
「西沢さん?」
ようやく私に気づいたようだった。
「家はどこ?送って行くから電車に乗ろう」

電車の中で浜崎くんの隣に座った。
遅い時間だからか、乗客は私たちしかいない。
私は隣にいる浜崎くんに尋ねた。
「浜崎くん、家はどこ?送るから」
「…ない」
「え?」
声が小さくて聞き取れなかった。
「家には、帰りたくない」
電車から降りると、とりあえず私の家に向かった。