「お邪魔します」
「鈴ちゃん、いらっしゃい」
二番目のお兄さんの椿さんが出迎えてくれた。
「突然すみません」
「大丈夫だよ。お腹空いたでしょ?今ご飯作ってるから」
私たちはリビングで待っていることにした。
「今日は蓮兄、遅いみたいだから、先に食べててだって」
「最近また忙しそうだよね」
一番上のお兄さんの蓮さんは、出張が多い仕事をしているらしい。
でも仕事がひと段落して、戻ってきたようだ。
「なんの仕事してるかは詳しく教えてくれないけどね」
「お父さんとお母さんも心配してるんだよね。蓮お兄ちゃんの仕事のことも、兄弟だけでこの街に引越してきたことも」
「え?兄弟で?」
「うん。蓮お兄ちゃんが大学に通い始めた時に私たち三人も一緒についてきたの。うちの両親も鈴のところと同じでなかなか家に帰って来られないことが多かったから」