「最初は絵を描こうとしていたの?」
「はい。でももう時間もないし、写真にしようかと…」
「それじゃあ、テーマを考えないとね」
「テーマ…」
私が撮りたいもの…
「そんなに難しく考えなくても大丈夫。気楽にやってみて」
秋本先輩も同じことを言っていたような気がする。
宮沢先輩と秋本先輩は高校に入学してすぐ仲良くなったらしい。
やっぱり一緒にいる時間多いと言動も似てくるのかな。
「やってみます」

どんな人かと思って、緊張していたけど、思ったより普通の人だった。
家で参考になりそうな写真集を借りようと、図書室に寄った。
良さそうな写真集を探していると、
「あれ?西沢さん、まだ残ってたの?」
月島先生に声をかけられた。
「美術部で使えそうな資料を探していて…」
「そっか、コンクール近いみたいだもんね」