桜は超がつくほどの方向音痴だ。
中学2年生の時に、この街に引っ越してきたのだが、初めの頃は、学校と反対方向に行ってしまい、遅刻してしまったことがある。
「だから私の事は心配しないで」

放課後になり、委員会の集まりの時間になった。
私は浅井図書室に向かった。
私が一番早かったのか、司書教諭の先生以外誰もきていなかった。
「早いね。まだみんな来てないみたいだから。この資料先に読んでて貰えるかな」
委員会の資料にしてはずいぶん枚数があった。
私が驚いていると、
「あはは、驚いた？でもうちでは図書委員以外に文芸部の子達にも手伝ってもらうように言ってあるから大丈夫だよ」
図書委員だけでは足りないほどの仕事量なのか…
私が落胆していると、
「図書委員会の集合場所ってここで合ってますか？」
後ろからよく通る声が聞こえた。
「うん。ここで合ってるよ。今年の一年生は気合いのある子がいて助かるよ」