「じゃあ、なんだ?」

 いや、だって、これ……。

「だってこれ……高いヤツだよ?」

「値段のことなんて、気にしなくいい。 俺からの誕生日プレゼントなんだから」

 そ、そういう訳にはいかないよ。……だってこれ、私には買えないって諦めてたヤツだから。

「……秋文さん、本当にいいの?」

 私がそう聞くと、秋文さんは「俺からのプレゼントだ。ありがたく受け取れ」と頭を撫でた。

「……うん、ありがとう」

 右手の薬指に付いている指輪を眺めながら、私は嬉しい気持ちになった。
 まさか……本当にもらえるなんて、ビックリしている。

「ちなみにそれ、俺もお揃いにしたから」

「えっ!?」

 お、お、お揃い!? 

「ほら、俺とお揃いだろ?」

「……ほ、本当だ」

 私がほしかったものを秋文さんがくれただけじゃなく、まさか秋文さんも同じものを持っているなんて……。
 おそろいとか、ビックリさせるにも程があるよ。

「どうだ? ペアリング、嬉しいだろ?」

 私はそう言われて、つい「ありがとう、秋文さん」と秋文さんに抱き着いた。

「澪奈はもう、俺だけのものだしな。……まあ、絶対に離さないけど」

 秋文さんとおそろいのペアリングはきっと、秋文さんとの未来を現しているみたいで、なんだかすごく嬉しかった。
 
「離したら、許しません」