「目、開けていいぞ」

 そっと目を開けると、そこにはーーー。

「……え? あれ、これって?」

 なんか……どこかで見たことあるような気が?

「ね、ねえ、秋文さん。これって……」

 私の右の薬指にはまっている゙それ゙を見て、思わずそう口にしてしまう。

「それ、澪奈がほしいって言ってたヤツなんだろ?」

「え? な、なんで……?」

 私、これがほしいなんて、秋文さんに言った記憶……ないよ?

「私、そんなこと言ったっけ?」

 おかしいな、全然記憶にない。本当に、覚えていない。

「お前のことをよく知ってる情報網、ってのがあるからな」

「じょ、情報網?」

 ーーーま、まさか!?

「ゆ、結香のこと……!?」

「さすが親友だな。正解だ」

 まさか結香が、秋文さんの情報網になっていたとは……。結香のヤツ、そんな素振り一ミリも見せてもなかった。
 だからか、全然気づかなかった……。

「だから、私がこれがほしいって知ってたんだ」

「まあな。……もうすぐ、誕生日なんだろ?澪奈」

「う、うん」

 秋文さんは「ちょっと早いけど、俺からの誕生日プレゼントだ。受け取れ」とはにかんで見せた。

「でも、本当にいいの?」

「なんだ。気に入らないか?」

「違うの!そうじゃなくて。……嬉しいよ、すごく」

 まさか、これをもらえるなんて……。