「秋文さん?」

 ある日の休日の午後十四時。 
 秋文さんに呼び出された場所へ向かうと、秋文さんが背を向けて立っていた。

「来たか、澪奈」

「どうしたの?急に会いたいだなんて」

 秋文さんは私の方に振り返ると、「今日は、澪奈に大事な話があってさ」と私の方に歩いてくる。

「大事な話……?」

「そう。どうしても、澪奈に直接伝えたくて」

 私に直接、伝えたいこと? え、なんだろう?

「なに?」

「澪奈。俺さ、澪奈のありがたさが本当に身に沁みててさ」

「うん?」

「澪奈がどれだけ、俺にとって大切な存在か、ようやく分かったんだよ」

 秋文さんの言うことに、イマイチピンとこない。

「澪奈の言うとおり、俺と澪奈って運命なのかもしれないな」

「え?急にどうしたの? 秋文さん、なんか変じゃない?」

 いつもの秋文さんじゃない。 なんなんだろう?なんか、違和感しか感じない。

「……澪奈」

「ん……?」

 秋文さんは私の手を取ると、私に「俺からのプレゼント、受け取ってくれるか?」と私に言った。

「え……? プレゼント?」
 
 私に、プレゼント? 何なに? プレゼントってなに?

「そう。 さ、目を閉じて」

「う、うん」

 言われた通り、目をそっと閉じる。 するとーーー。
 なんだか指に、少しだけ違和感がある気がした。