「あの……刑事さん」

「なんだよ」

「刑事さんは、どうして……刑事になろうと思ったんですか?」

 澪奈は会話に切り込もうと、俺にそんなことを聞いてくる。

「俺か?……そんなこと聞いて、お前に何かメリットはあるのか?」

「え?  め、メリット……?」

 そんな澪奈に、俺は「まあ、俺の話を聞いてもつまらないだろうけど」と言った。

「そんなことないです。……私、もっと知りたいです。刑事さんのこと」

 澪奈からそう言われて、俺は思わず「はっ?」 と澪奈を見た。

「俺のこと知りたいって……なんだよ、急に?」

 澪奈は「あ、いえ……そのっ……」とあたふたしている。

「……お前、大丈夫か?顔赤いけど」

 澪奈は、熟したリンゴみたいに顔が赤くなっている。

「え?あ、赤い……ですか?」

「ああ、熟してるリンゴみたいにな」

「り、リンゴ……」
 
 そんな澪奈に向かって、俺はずっと気になっていることを聞くことにした。

「なあ、お前って、まさか……」

「は、はい……?」

 えっ、何なに? どうしたの? って顔で俺を見る澪奈。

「俺の疫病神か何かなのか?」

「……は?」

 これだけ何回も会って事件を引き寄せてくるってことは、もはや澪奈は疫病神なのではないかと思っている。

「や、疫病神なんかじゃありません!」