「はい。柏崎です」
「柏崎さん? 俺だ」
澪奈に電話をした俺に、澪奈は「俺?……まさか、オレオレ詐欺ですか!?」と驚いていた。
はあ?オレオレ詐欺……!? 何言ってんだ、コイツは。
「何言ってんだよ、アホ。俺だよ、警察だよ」
「あ、ああ……なんだ、刑事さんですか」
その時の俺は、なんか澪奈のことを面白いなとは思っていたけど。
まさか、俺だと言っただけでオレオレ詐欺だと疑われるとは……。
まあある意味、素直というかなんというか……。
仕事終わり、荷物を取りに来た澪奈に荷物を確認してもらう。
「どうだ? 他に盗まれたものはないか?」
中身を全て確認してもらった後、澪奈は「……多分、大丈夫だと思います」と答えた。
「そうか。 じゃあこれで、以上だ。帰っていいぞ」
「……はい。ありがとうございました」
澪奈はそのまま、警察署を後にした。
これでもう、アイツと会うことは二度とない。俺はその時、そう思っていた。
おかしなヤツだったな。 事あるごとに、事件を引き寄せてたし。
なぜかその度に、俺がアイツの事件に関わることになるし……。本当にアイツは、なんなんだ。
「……アイツ、マジで疫病神だろ」
アイツが事件を引き寄せてくるから、俺の仕事が増えるんだよ。……全く。
もう二度と会わないことを祈る。