本当に嬉しかった。まさか、キスされるなんて……。
 思ってもなかったから、驚いてしまった。

「……なあ」

「えっ? あ、はい……なんでしょうか」

 な、なんか……急に緊張してきた。

「名前……澪奈って言うんだっけ?」

「え……?」

「お前の名前。澪奈だっけ?」

 私はそう聞かれて「あ、はい。……そうです」と答えた。

「澪奈、運命を信じるって言ったよな」

「あ……はい。言いました」
 
 何?今度はなにを言おうとしてるの? わ、なんか聞きたくない……。

「俺も信じてみることにしたわ。その運命ってヤツをさ」

「……へ?」

 し、信じる……とは?

 色々ありすぎて、頭が混乱している。

「澪奈、俺と付き合ってみるか?」

「……えっ!?」

 え、え……? ええっ!?

 突然のことにビックリして頭がパニックだ。

「えっと……それは、冗談ですか?」

 私がそう聞くと、刑事さんは「は? 冗談でそんなこと言う訳がないだろ」と言葉を返してくる。

「で……ですよね」

 これって……私、喜んでいいって、こと?

「な、なんで……そんなこと言ってくれるんですか?」

「は? なんで?」

「いや、だって……そんなこと、言われると思ってなくて」

 喜ばしいことではあるのに、なんだか現実とは思えない。