「や、疫病神なんかじゃありません!」

「だっておかしいだろ? 何回も何回も会うなんて。しかもお前は、なんかしらのトラブルを抱えてやがるし」

 そ、それは……。

「た……たまたま、じゃないでしょうか」

「たまたま? 本当かよ」

 悔しいが、何も言い返せない。

「お前やっぱり、疫病神だろ。お前がいると、不吉な予感しかしねえ。 今度お祓いでもしてこい」

「はあ? ひどいんですけど……!」

 そんな良い方なくない!? 

「お前には、引き寄せる何がありすぎるだろ」

 そう言われたら、自分でもそう思ってしまって何にも言い返せない。
 ……なんか、悔しい。

「でも、いつも私のこと助けてくれますよね?」

 私がそう聞くと、刑事さんは「はあ? それは刑事だからに決まってるだろうが」と言われてしまう。

「……ですよね」

 なんでか分からないけど、ちょっとだけ残念な気分になった。

「なんだ。残念そうな顔してるな」

「えっ……!?」

 ウソ!そんな顔してる!? いや、してないしてない!

「冗談だ。……ほら、飲んだなら行くぞ」

 立ち上がる刑事さんの腕を、なぜか私は掴んでしまった。

「……ま、待ってください」

「おい、なんだよ?」

 それは自分でも、無意識だった。自分でもよく分からないほど、無意識だった。