「あの……刑事さん」

「なんだよ」

「刑事さんは、どうして……刑事になろうと思ったんですか?」

 コーヒーショップでコーヒーを二つテイクアウトした私たちは、ショッピングモール近くの公園のベンチに並んで座っていた。

「俺か?……そんなこと聞いて、お前に何かメリットはあるのか?」

「え? め、メリット……?」
  
 メリットと……言われましても。 何か……あるのかな。

「まあ、俺の話を聞いてもつまらないだろうけど」

「そんなことないです。……私、もっと知りたいです。刑事さんのこと」

「はっ?」

「……っ!」

 あれ?私今、なんて言った!? なんか、変なこと言ったよね!?

「俺のこと知りたいって……なんだよ、急に?」

「あ、いえ……そのっ……」

 私……なんでそんなこと言ったのだろうか。 言うつもりなんて、なかったのに。
 
「……お前、大丈夫か?顔赤いけど」

「え?あ、赤い……ですか?」

 ウソ……。なんでかな。

「ああ、熟してるリンゴみたいにな」

「り、リンゴ……」

 ひどい……!

「なあ、お前って、まさか……」

「は、はい……?」

 えっ、何なに? どうしたの?

「俺の疫病神か何かなのか?」

「……は?」

 疫病……神? 疫病神……?!

 はあ!? ひどいんですけど!?