あの人は口が悪くてミステリアスで、冷酷な人にしか見えなかった。
 でも……。頭にぽんと手を乗せて、犯人は必ず俺が捕まえるなんて言われた時、ドキッとしたのは間違いなくて……。

 私……あの人のことを、どう思ってるんだろうか。
 そういえば……好きな人がいたのを諦めてから、恋をしようなんて思ってもなかった。
 今更恋なんて……めんどくさい。

「デート、誘ってみれば?」

「えっ!デート? ん!?なんで!?」

 私があの人とデート……!?

「……無理無理!」

「えーなんでよ!」

「警察の人と一緒にいると、事件に巻きこまれそうでイヤだもの。……それに私、恋なんてもういい。しばらくはお一人様ライフを楽みたいし」

 結香にそう言ったけど、結香は「澪奈、恋しなきゃ前に進めないよ?……もしかして、まだあの人のこと、好きなの?」と聞かれる。

「……どうかな。 最近色々あったし、恋をする気分にはまだなれないな」

 恋をすることに、なんだか疲れた。

「澪奈、今度婚活しに行こう!」

「えっ! こ、婚活!?」

 なんでまた婚活!?

「そう!警察じゃないハイスペックな男を探すのよ!」

「警察じゃない、ハイスペックな男……?」

 そんな人本当にいるの……? 

 まさか……天才外科医とか、弁護士とか、外交官とか?