私が彼と出会ったのは、とある日の大雨の日だった。 
 その日はとてつもなく大雨の日で、前が見えなくなるくらいの大雨の日だった。
 その日私は、残業になってしまい帰りが遅くなってしまった。 

 私は普段自転車で通勤しているのだが、その日は大雨のため、自転車を置いて歩いて帰ることにした。
 歩くと三十分ほどかかるが、明日は土曜日で休みのため頑張って歩いて帰ることにした。

「雨すごっ……」

 傘壊れないかな……。打たれるような雨に、服もカバンもびしょ濡れだ。
 それに前が見えづらくて、歩くのも困難だ。雨で視界が悪く、歩きづらい。

 そして私が゙それ゙を目撃したのは、歩き始めて十五分ほどした時だった。

「ん……?」

 あそこに……誰かいる? でも視界が悪くて、ちゃんと見えない。 

「何してるん……だろう?」

 こんな大雨の中で、人影が見える。 でもその人影は、なんだか変だ。
 だって……ナイフがお腹に刺さってる。 それはまるで……殺されてる、みたい……な。

「……ひぃっ!?」

 え……。こ、殺されてる……?!
 やばい!やばい! それって殺人事件じゃ……!

 け、警察! 警察呼ばなきゃ……!
 そう思いスマホを取り出し、すぐに110番をする。

「あ、す、すみません!殺人事件です! 誰かが、ナイフで刺されて倒れてます! す、すぐに来てください……!」