「桜井さん、桜井さん!」

はしゃいだ口調で呼びかけながら、担当のレジを抜け出し木村朋美(ともみ)がやって来た。

俺と同い年の朋美は少し浅黒い肌をしていて、ハタチを過ぎて3年が経つのに化粧っ気がない。

よく見れば美人の方なのだが、肌色の悪さとダサ眼鏡のせいで、男の同僚たちの評価はイマイチだった。

「明後日なんですけど、リンリンと高橋さんと、それから秋庭(あきば)さんで、カラオケ行きませんか?」

「明後日?
うーん……秋庭さんが行くんなら、俺も行こうかな」