「嫌いになって別れたんじゃないんでしょ、桜井くんの方としては。 向こうから連絡あったりすれば、やっぱり、会いたくなるんじゃないの?」 騒がしいファミレスで、俺たちの座る一角だけが、急に温度が下がった気がした。 「何……言ってんだよ。いま、俺、お前と付き合ってるじゃん」 言いながら、そこで初めて実感する。 傍(はた)から見れば、俺のやってることって、二股以外のなにものでもないんだと……。