梅雨は明けたはずなのに。
何でまた、雨が降っているのだろうか…。



全校集会の日。
教室には行かず、保健室に登校した。


学校自体、来るのは久しぶり。
だけどやっぱり周りの目が怖くて…昇降口から入れず、保健室に近い渡り廊下から校内に入った。


「内山、ほら。朝の元気補給。無理せず頑張れ」
「あ、ありがとうございます」


保健室の先生から飲むゼリーを貰った。


…詳しくは何も聞かない先生。


それが凄く、居心地が良かった。



 ガラッ


「美久ちゃん!」
「先輩……!」


保健室にやって来た向井先輩。
私の姿を見つけると、急いで扉を閉めて駆け寄ってきた。


「向井、おはよ」
「先生おはようございます」


適当に挨拶をしながら私を抱きしめてくれた先輩…。
先輩の体は、少しだけ震えていた。


「……なぁ向井、器用になれよ」
「…はい、分かっています」


先生と向井先輩の謎な会話……。


先輩は私を抱きしめたまま、一度小さく頷いた。


「……よし」


腕を解き、今度は私の頭をポンポンと叩く。


「美久ちゃん、本当に俺のせいでごめん。今日は必ず、俺のツケを精算するから」
「……」


その言葉に何も言えなくて。

私もまた、無言で小さく頷いた。