美璃の胸が、じわじわと熱くなる。

 今日のことは、ただ同伴して、美璃に勇気をくれるだけではなかったのだ。

 それ以上にもっと、はっきり、美璃の立場も心情も救ってくれる行動だった。

 実感して、熱で胸の中はいっぱいになった。

 それが弾けたように、体が熱くなってくる。

「颯士さん……」

 名前を呟いた。

 声が出たことで、さらに颯士からの行動と想いが実感できたのかもしれない。

 次の声は、もっとはっきり発音できた。

「ありがとう……!」

 美璃の体の中で、熱いものが爆発する。

 強い安堵と嬉しさが美璃を突き動かした。

 心のままに一歩踏み出し、しっかり颯士にしがみつく。

 その美璃をすんなり受け止め、颯士は背中に腕を回して、守るように抱きしめてくれた。

 抱いてくれる腕も、伝わってくる体温も心地良くて、美璃の体の熱は高まるばかりだ。

 これほど安堵したことは今までにない、と思ってしまう。

 しかしそこで、ふと違う声がした。

「でも、俺はひとつ美璃に謝らないといけないことがある」