この様子では、冬治と颯士は、なにかしらの知り合いのようだ。

　そして言い方によると、仕事で関係があるように思える。

　戸惑って、美璃は颯士のほうを見た。

　その颯士は、笑みを浮かべていた。

　口元だけに浮かぶ、わずかな笑みだ。

　自分に向いている、優しかったり、愛おしげだったりする笑い方とはまったく違う、と、美璃が違う点にも動揺したところで、颯士がゆっくりと口を開いた。

「ええ。きみは【ヴィリオン】所属モデルの中原 冬治くんだね」

　静かに言った言葉に、冬治は黙る。

　絶句した、というような表情に見えた。

「え、どうして颯士さんが冬治を……？」

　余計に戸惑ってしまい、美璃はもう一度、颯士を見上げる。

　その美璃に視線を向けて、颯士は今度、いつもの笑い方で微笑んだ。

「中原くんは、俺が役員を務める会社の系列事務所で働いてるんだ」

　そして言われたことがすべての種明かしだった。

　美璃は目を真ん丸にしてしまう。