「美璃、なにをもらおうか?」

「えっとね、ローストビーフが美味しそう」

「ああ、いいな。じゃあこれと……」

 颯士と二人で美味しそうな料理を取って、テーブルでいただく。

 もらった料理はどれも美味しくて、強がって言った「せいぜい美味しいものでも食べてきますよ!」は本当になったわけだな、と、味わいながらちょっと美璃は苦笑してしまった。

 飲み物もおかわりをもらって、美璃はだいぶこの状況に慣れてきたのだけど……。

「よう、美璃。今日は来てくれてありがとう」

 そこへ冬治と麻耶が回ってくる番になったらしい。

 冬治の声がかかって美璃が振り向くと、二人が腕を組んで近付いてくるところだ。

 少し胸が冷える気持ちを感じながら、美璃はそっとお腹の下に力を込めた。

「ううん。こちらこそ、お招きありがとう」

 声はまったく震えなかった。

 微笑も崩れなかったくらいだ。

 特別な感情はない。

 やはりこれまた、完全に『他人事』の気持ちであった。