その先の颯士の表情は、笑みだった。

 美璃を安心させるような、やわらかな笑みだ。

 あまりに愛おしげに見つめてくれる表情に、美璃はつい見とれてしまった。

「美璃ならきっと、上手くやれる」

 颯士はそう言い切った。

 美璃の胸が、とくんと高鳴る。

 颯士がそう断言してくれるならきっと大丈夫、と胸に迫ってきた。

「うん」

 一言だけ答えた。

 でも美璃の心情は、正しく伝わっただろう。

 颯士はそっと、腕を伸ばした。

 美璃の肩に触れ、わずかに身を寄せてくる。

「俺もついてる。安心していい」

 優しい腕が、美璃の背中に回る。

 美璃をソフトに抱きしめて、颯士は潜めた声で、言ってくれた。

 抱きしめられるなんて初めてだったのに、美璃の胸に湧いたのは、強い安心だった。

 きっと大丈夫。

 今の自分なら、そして颯士がいてくれるなら、きっと大丈夫。

「うん……!」

 だから答える声にもう緊張はなかった。

 明るく、力強いものになり、自分からもきゅっと颯士に抱きついていた。