時間も経ち、開場の時間となった。

 会場はだいぶ高い階のようだった。

 そこまでエレベーターで上がることになる。

「緊張してる?」

 ボタンを押して、エレベーターを待つ間、颯士が美璃に聞いてきた。

 どきっとしながらも、緊張はして当然と言える。

 美璃は誤魔化さずに頷いた。

「うん、少しは」

 素直に答えた美璃に、颯士は困ったように笑った。

「そうだよな。当然か」

 そのまま肯定してくれる。

 エレベーターは数秒でやってきて、二人で乗り込んだ。

 颯士が会場の階のボタンを押す。

 エレベーターの扉が閉まり、するすると上へ向かって動き出した。

「大丈夫だよ、美璃」

 動き出してすぐ、颯士が言った。

 美璃はそちらを振り向く。

 見上げる形になった。