ドレスはお直ししてもらったので、確認のためにもう一度、着てみる。

 前回も着心地がいいと思ったのに、直してもらったこれは、それ以上だった。

 体にフィットするのに、体型があからさまにはならず、上品なシルエットになっている。

 アクセサリーもバッグも靴も、新品が入っていた。

 当日は朝からヘアサロンへ行って、ヘアメイクをしてもらう予約も入れている。

 パーティーはもう、数日後に迫っていた。

 招待状を颯士に見せたとき、言った「断ったら逃げるみたいになりますから」は、今思い出しても、ただの強がりだった。

 本当は行きたい気持ちなんてあったはずがない。

 でも今なら、と思う。

 今の落ち着いた心の自分と、颯士のヘルプがあってくれたら。

 きっと適切に振る舞えるだろうな、と思う。

 冬治と麻耶を祝う気持ちなんてあるわけがない。

 だけど少なくとも、あからさまな嫌悪や敵意、あるいは傷心を表に出すことはしないで済むだろう。

 これらは全部、颯士がくれたものだ。

 だから、終わったらお礼をしないといけないな。

 姿見に映る自分の姿を見つめながら、美璃は穏やかに決意した。