デートが終わっても、颯士は毎日のように電話やメッセージをくれた。

 やり取りは何気ない内容が大半だった。

 今日の仕事がどうだったとか、楽しいことがあったとか。

 でもそんなやり取りをできるのが、美璃はとても嬉しかったのだ。

 恋人として過ごすのが二週間だけでも、すごく素晴らしいことだ、と思った。

 終わったあと、また義兄の兄というだけの関係に戻ってしまうのは少し寂しいな、と思うくらいだ。

 だけどこの関係はあくまでも、颯士が美璃を助けてくれるためのものなのだから。

(颯士さんにはなんのメリットもないのに、こうして付き合ってもらっているだけで、感謝しないといけないよね)

 美璃はそう思っていた。

 そんなふうに日々を過ごすうちに、颯士と恋人らしくやり取りするのにも、すっかり慣れた。

 しばらくあとにはまた軽いデートをしたし、着実に仲は深まっていった。

 きっとこれならパーティー当日も、ひとに疑われたりしないだろうな、と、セミオーダーしたドレスが家に届いた日、美璃は思った。