お茶をお供にケーキを楽しんで、残り少なくなってきた頃、颯士がふと言った。

「この間、変な疑惑をかけられたって言ってたよね。そっちは大丈夫……?」

 美璃はちょっとだけ胸が冷える思いを味わう。

 だけど気が引けるわけではないので、そのまま答えた。

「はい。なんか会議が長引いてるのかわからないんですが、処分は延期になって……もう少し待つように言われてるんです」

 現状はこの通りだった。

 なぜか上司からそう通告されたのだ。

 美璃としては、一体どうして延期なのかよくわからなかったが、受け入れるしかない。

 よって、まだ落ち着けない気持ちで仕事を続けているここ数日である。

「そうか。それならいいんだ」

 美璃の説明に、颯士はそれだけ言った。

 そのまま話題は別のほうへ行ってしまう。

 きっと私を気遣ってくれたんだろうな、と美璃は思った。

 心配したから聞いてくれたのだろうし、話を長引かせなかったのも同じだろう。

 そう、思った美璃だったけど。

 颯士のほうは、少し違う気持ちでこのやり取りをしていたのを、今は知るよしもなかった。