(それに……多分、似合ってる……よね?)

 一番に驚いたのはその点だった。

 こんな素敵すぎる服、自分に似合うわけないと思っていたのに、色合いも、服の形も、自分にぴったりなのだ。

 少なくとも違和感はないと思う。

 そして颯士はそれ以上のことを言ってくれた。

「かわいいよ、美璃ちゃん」

 頭の上から、やや潜めた声で言われて、かっと頬が熱くなった。

 小さくした声は、艶っぽい。

 低いのにやわらかな響きを帯びていて、愛おしげに聞こえてしまう。

「では、こちらを一揃いいただきましょう」

「ありがとうございます」

 そのあと颯士は購入を決定していて、もちろん美璃にお財布など出させてくれなかった。

 美璃が動揺しているうちに、購入した一揃いはすべて家に配送されると決定して、大量の買い物をした割には、二人は手ぶらで店を出たのだった。