「お疲れ様でした。フィッティングの具合を拝見いたします」

 すぐ店員が近寄ってきて、美璃とドレスの様子を見はじめた。

 メジャーを手に、ウエストやバスト周りといったあたりを、ささっと見て、手元の端末に入力している。

(なるほど、これがセミオーダーってこと……)

 ドレス本体を選んで、調整してくれるのだろう。

 もしくは同じ型の新品を用意して、そちらで直してくれるとか。

 感心してしまった美璃だった。

「美璃ちゃん、とっても似合うよ」

 そこへ颯士も近付いてきた。

 やわらかな笑みで褒められて、美璃の胸はまたしても高鳴ってしまう。

 こんな、愛おしそうに褒められてしまっては。

「そ、そうで……しょうか?」

 返事ははにかんだ。

 慣れない格好なのも、褒められるのも、くすぐったい。

「もちろん。さ、じゃあ次はこれを着けてくれ」

 颯士はさらりと肯定し、横を示した。

 美璃がそちらを見ると、いつの間にか計測を終えていた店員がトレイを手にしている。

 布張りのそれには、ゴールドのアクセサリーが何点か乗っていた。