アイコンをタップして開くと、シンプルな文面が並んでいた。

『今日、時間あるかな? 仕事後に夕飯でもどう?』

 それだけだった。

 でも美璃にとっては、ちょっと目を見張ってしまう内容だった。

(なにか打ち合わせかな?)

 思い浮かんだのはその理由だった。

 すぐに、きっとそうだろうと思えてくる。

『はい! 大丈夫です』

 なのでためらわずにOKの返事を送った。

 数分後に返信が来る。

『良かった。じゃ、会社まで迎えに行くよ。何時がいい?』

 そんなやり取りを何回かして、退勤後に来てもらえることになった。

 それで昼休みは終わったけれど、美璃の心はなんだかうきうきしていた。

 ただ身内と会うだけなのに、なんだか……デートかなにかの待ち合わせのように感じてしまう。

 やがて気付いて、はっとして、恥じ入った。

(い、いやいや、相手は大義兄さんなんだし、私を助けてくれるためなんだから)

 自分に言い聞かせる。

 だけど午後の仕事は嫌な気持ちなく取り組むことができたし、そうなれたのは、颯士の誘いがあったからこそなのだ。