「……そうか。同期の子と……」
数十分後。
辿り着いた夜の海で、話を詳しく聞いた颯士は、ぽつりと呟いた。
美璃はホットドリンクの缶を両手で握ったまま、こくりと頷く。
ここは海が見える高台。
柵が張ってあって、その向こうに広い海が臨める。
もちろんもう夜中といえる時間になりつつあるので、海の様子はほとんど見えなかった。
でも灯台の明かりや、時折海の上を移動する光……おそらく船……それらが見えるし、夜にしか見えない美しさが堪能できる。
デートで来たなら、きっとそれなりにロマンティックな場所だろう。
夏の終わりなので、まだ寒くはない。
夜の外でも、オフィスカジュアルのジャケットだけで、じゅうぶんだった。
「冬治はよく私の会社へ迎えに来てくれたりしてたから……きっとそのとき、下野さんとも顔を合わせたんだと思います」
話す間、視線を柵に落として見つめながら、美璃はもうひとつ、説明した。
「なんて酷い……。確かにあの彼はモデルと聞いていたけど、だからって……」
颯士は、かける言葉もない、という響きで呟く。
言葉を選んでいるようだったけれど、美璃にとっては、共感してくれるような言い方が、とても嬉しく感じられた。
数十分後。
辿り着いた夜の海で、話を詳しく聞いた颯士は、ぽつりと呟いた。
美璃はホットドリンクの缶を両手で握ったまま、こくりと頷く。
ここは海が見える高台。
柵が張ってあって、その向こうに広い海が臨める。
もちろんもう夜中といえる時間になりつつあるので、海の様子はほとんど見えなかった。
でも灯台の明かりや、時折海の上を移動する光……おそらく船……それらが見えるし、夜にしか見えない美しさが堪能できる。
デートで来たなら、きっとそれなりにロマンティックな場所だろう。
夏の終わりなので、まだ寒くはない。
夜の外でも、オフィスカジュアルのジャケットだけで、じゅうぶんだった。
「冬治はよく私の会社へ迎えに来てくれたりしてたから……きっとそのとき、下野さんとも顔を合わせたんだと思います」
話す間、視線を柵に落として見つめながら、美璃はもうひとつ、説明した。
「なんて酷い……。確かにあの彼はモデルと聞いていたけど、だからって……」
颯士は、かける言葉もない、という響きで呟く。
言葉を選んでいるようだったけれど、美璃にとっては、共感してくれるような言い方が、とても嬉しく感じられた。