「ああ、それが安心ね。ここから駅まで歩くには、だいぶ遅くなっちゃったから……」

 先に反応したのは美香だった。

 軽く手を合わせて、安堵したという表情にもなる。

 確かに話を聞いてもらって、夕食をごちそうになって……としている間に時間は経ち、もう二十一時前になっていた。

 駅まで徒歩五分とはいえ、外を歩くのは少し怖い時間だ。

「いいんですか?」

 颯士の車には何度か乗ったことがあるし、颯士ももう『それなりに親しい、義理の身内』だ。

 なにも心配がないどころか、有難いと美璃も思った。

 よってそう答えたのだが、颯士は普段、クールな表情をわずかに笑みにして、頷く。

「もちろん。美香さんも言うように、少しは安心だろう」

 美香の言葉に同調して言い、優しい提案をくれる颯士。

 それならもう、甘えるだけだ。

 美璃は頷いた。

 今度はほとんどためらいなく、になった。

「はい! じゃあ、お願いしちゃいます」