美璃の笑みに、美香も困ったようなものではあったけれど、顔を笑みの形にする。

「ううん、姉妹じゃない。辛いときは頼ってよ」

「うん! ありがと」

 そして優しく言ってくれるから、美璃の気持ちはもう少し落ち着く。

 お礼は明るい声で言うことができた。

「お待たせ。そっちは片付いた?」

 キッチンの後片付けを済ませて、美香が先立ってリビングに入った。

 テーブルについていた颯太と颯士に声をかける。

「ああ。さっき終わったところだよ」

 颯太がテーブルに広がっていた書類から顔を上げ、美香に向かって笑いかける。

 今日、颯士がこの家にやってきていたのは、颯太……彼の弟に用事があったかららしい。

 美璃にとっては義兄の兄にあたる彼が偶然訪ねてきていた日で、おまけに彼に出迎えられてしまったために、あんな恥ずかしい姿を晒してしまったので、だいぶタイミングが悪かった、と美璃は少々気まずく思った。