翌日はとうぜん欠勤した。
世田さんとは同じ部署だから顔を合わさず済むことはないし、康二さんとだって。
勤め先自体、昨日のことを連想するから、見たくない。

スマホで連絡を入れられただけでもすごかった、よくできたねって自分を褒めた。
そして、明日からもその先も、休むか行くかだけで苦悩して、休むなら理由を用意するのに苦心しなきゃいけないんだとうんざりした。
 
それ、続けないといけない?
もう行けるとも思えない職場に対して?

私の指はスマホで『退職代行サービス』をたぐっていた。
ちらっと、家族や友達の「相談してくれたらよかったのに」という顔がよぎったけれど、その罪悪感も負担で。
しめやかな儀式をするように、そーっと、退職の代行に頼る手続きをすませる。
こうして私はそれなりに愛着のあった職を、手放した。