涼晴さんに相談に乗ってもらって、二人でつくったドリンクメニュー『鉱物クリームソーダー』。
真っ青なソーダ水にクリスタル型をしたピンクとパープルの琥珀糖を沈めて、真っ白なアイスを盛った飲み物だ。

「研究者に、カフェ店主、忙しいよね帆夏さんは」
「私くらい、まだまだ。北園自動車の専務で、忙しい涼晴さんを店に立たせて、ごめんなさい」
「いいよ、これは僕の余暇の過ごし方なんだから。君とカフェのカウンターに立つのは僕の楽しみだ」
「ありがとう涼晴さん。でもね、ちょっと人を雇って頼ろっかなって」

涼晴さんが片眉をあげる。

「へえ、それは一体どういう心境の変化?」
「そうしたら、平日もお店を開けられて私と涼晴さんで考えたメニューを楽しんでもらえる人が増えます。それに」
「それに?」
「今後はもっとやることが増えますから。研究者に、カフェ店主に、涼晴さんのお嫁さん」
「最高。すっごく心動かされてばかりだ。あの日、君を探し当てて、君に出会えて良かった」

出会った日のように、涼晴さんが私の手をとるから、持っていた飲み物がなみなみ揺れる。
私たちの恋の結晶、鉱物ソーダの中でキラキラとカラフルな光が踊った。