ベッドの上で「愛してる」を何度も言いあって心と体を結びあった。
しっとりとした肌を撫でて、倍も撫で返されて。
心地よさにもがいて腕をかくと、シーツの海を泳ぐよう。
こんなに気持ちいいのに、時折、涼晴さんはじっと私を見下ろして、焦らす。
それで体を反ってねだる私に、彼は甘い唇を落とす。

「涼晴さんが、大すき」

とろとろと溶かされて、うわごとのように「愛してる」を口にした。
朦朧とする私を、涼晴さんは嬉しそうにかき抱いた。


あれから、世田さんは盗用の事実が広まって、研究所を辞めたそう。
致命的な汚名だ。研究者としての彼女は抹殺されたといっていい。 
私の方は、涼晴さんからの勧誘を受け、彼の傘下の研究部門で研究の道に戻った。

もちろん、鉱物カフェだって大切にやってる。

土日祝だけの営業になっちゃったけど、鉱物カフェ『インクルージョン』は満席。
カウンターには私と、涼晴さんの二人。
それでも手が足りないから、花世ちゃんにもバイトしてもらってる。
この賑わいは、涼晴さんの美貌の威力もある気がするけど、やっぱり、うちの人気ナンバーワンドリンクのおかげでしょ。