挑む顔つきをした涼晴さんが、胸元からケースを出す。
これって、よくある指輪が入ってるケースだよ。

「開けて」

うながされておそるおそる開いたケースから、鮮烈としか言えない赤の輝きが現れる。

まさか。
これはルビーじゃない、もっと光を反射して煌めきをまとっている。
たぶんアーガイル産──

「レッドダイヤモンド……!? 涼晴さんっ」
「僕の本気わかるよね?」

ダイヤの中でも色つきは珍しくて高価だけど、最も希少な、世界に数十個しかないと言われる赤いダイヤ。
聞いたことはあっても手に入るなんて想像すらしたことない。
石油王や御曹司でもなければ用意できない石。

「婚約指輪だよ。僕と結婚してください」

確かに、彼は本気できた。
ここまでしなくても、私はOKするのに!

「石を愛する君なら、これは断れないだろうなって考えて用意した。軽蔑する?」
「ううん、……すごく、伝わります涼晴さん、そんなにも私を好きになってくれたの?」
「大好きだよ。愛してる。君は?」
「……好き! 好きに決まってる! 涼晴さんみたいにカッコいい人も、私を思いやってくれる人も、他にいない……! 涼晴さんとなら結婚したい」

私から抱きつけば、涼晴さんはそれは甘く大切そうに私の頬を撫でてくれた。
レッドダイヤも放り出しそうになるくらい、お互いの感触に溺れてしまう。