いつもしっかり着込んでいたスーツの上着が脱がれ、涼晴さんが、御曹司からもっと私に近いものに変わっていく。
その手つきは甘く、時に残酷なほど私の快感を引き出した。
これまで男性とのあれこれは消極的にしかしてこなかったし、相手の満足優先で、それをやれている自分に満足するという行為だった。
涼晴さんは、比較にならないほど思いやりに満ちている。
「いやなら言って」を口癖のように使って、でも私の核心へソフトに触れて、快楽を捏ねる。
 
いやどころか。

涼晴さんのやわらかな唇が私の身体に触れるたび、頭の中で、薄桃色の花がひらく。
ひとつ、またひとつ、ぱっ、ぱっと。
花園がつくれるくらいそうされて、きもちいい。

焦点をあやしくしながら、涼晴さんに委ねた。
指の腹の感触や、吹きかけられる吐息が私をふわふわさせていく、身体の輪郭があやふやになる。

涼晴さんに夢中になるの、重いんじゃない?
けど、私を組み敷く涼晴さんは眉間に皺を寄せて、陶酔してるよう。

大理石のように滑らかで、首のラインから肩筋へとしっかり筋肉のついた涼晴さんの身体は、とても色っぽい。
艶かしい肌から涼晴さんの香りが匂い立つ。
汗に混じったそれを嗅いで彼の男性らしさを意識してしまう。

「ごめん、君が可愛すぎて、気遣うのはそろそろ限界……」

ぎゅうっと抱きつかれてコクっとうなずけば、揺さぶる速さが激しくなった。
深く、涼晴さんを受け止めて。

「好きだ。帆夏さんが好き……」

気持ち良さで何がなんだかわかんなくなっても、涼晴さんは私を大切にしてくれてる、それをずっと感じていた。